赤と青のえんぴつ

分野にこだわらず、気になったことについて机上の空論を繰り広げたい。

中学で囲碁将棋部を衰退させた男

 私は以前将棋動画を上げていました。よくないネットミームがマシマシの動画なので、あえてここで掲載はしませんが。

 その動画の中でこんなコメントがありました。

 

「将棋部だったのに、この実力って…」

 

 正直、将棋動画を上げる人の中では、実力は下位層であることは間違いないです。実力があるなら、よくないネットミームに頼る必要ないですし。

 

 でも、部活やっているなら強いに決まっている、って意見は、言われてみればそうだな、って気づきました。

 

 ではとりあえず、私の中学の将棋部の話を聴いてください。

 

 小学生の時、一時期、友達の間で将棋がブームになったことがありました。学校に将棋盤が置いてあって、休み時間に遊ぶことが許可されていたのです。ゲームに飢えている小学生にとっては、将棋が至高の娯楽でした。

 その後、中学に進学し、部活動を選択する4月、そうした小学生のころの思い出から将棋部を見学することにしました。

 

 

新歓にて

 学校の奥にある、将棋部の部室を訪れると、運動部特有のガツガツした勧誘とは違って、部員同士で

 

(おい…お前行けよw)(いや、お前がいけよww)

 

みたいな、新入生置き去りの対応をされた後に、ようやく部員と将棋を指すことになりました。

 

 相手は2年生の方でした。小学校のころに指していた将棋なんて、定跡なんてものはない、飛車と香車を縦に並べるロケット戦法が最強!というレベルの世界だったので、大したものではなかったのですが、その対局で何故か先輩に勝ってしまいました。

 

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ロケット戦法

 

 

 …皆さんは「いやいや、新入生へのサービスで手加減したんでしょ?」って思ったでしょう。私も皆さんと同じ立場ならそう思いますよ。

 

 しかし、詰みまで持っていったところで、「あ、勝った」と思い、先輩の方を見ると

 

 泣いていました。

 

 どうやら本気で指していたみたいです。もし、サービスだったとしても、かなり引きました。

 まあでも、行く当てもなかったし、勝って気持ちよかったし、女の先輩がかわいかったので、囲碁将棋部に入部しました。

 

 

部長になる

 将棋部って普通どんな活動するんでしょうか?私のところは、暇そうな人を見つけて何となく将棋やります?って聞いて、何となく指す感じでした。

 陰キャだった私は先輩に声をかける勇気もなく、ほとんど同期や後輩としか指していなかった気がします。しかも、2人しかいない同期も結構休みがちだったので、正直、1年生から2年生前半までの記憶がほとんどありません。割愛します。

 

 私の中学校は、文化部の3年生は文化祭で引退、という決まりでした。

 文化祭の翌日、早めに来て将棋盤などを準備していたところに、可愛い先輩がひょこっとやってきて、

「次の部長は、赤と青くんね!じゃ!」

とだけ言い残して去っていきました。独りの部室に「え~~」という声だけがこだましました。ラノベみたいな展開ですね。

 

 

兆し

 そんなこんなで部長になったのですが、その時、私は生徒会に所属していたので、あまり部活に行くことができませんでした。さすがに部活の体裁は保ちたいので、同期2人はちゃんと来るように説得して、部活を任せることにしました。

 

 久しぶりに部活に顔を出すと、部員同士がわいわい将棋盤に向き合って話しています。ちゃんとやってるじゃん、と思いながら近づくと何やら様子がおかしいです。不真面目な同期が私に気づいて話しかけてきました。

 

 「あ、お前もやる?戦場の絆

 

 うーん、ちょっと意味がわかりませんでした。戦場の絆っていうのは、たしかゲーセンにあるガンダムのゲームのはずです。

 

 話を聴くと、当時、戦場の絆にハマっていた彼は、どうしても学校でもやりたくなって、将棋盤と駒で再現したとのことでした。

 その話を聴いてもなお、ちょっと何を言っているのかわかりませんでした。

 

 しかし、私も「まあ、これも考える力は養われるのか…?」というわけのわからない思考に陥ったせいでこれを良しとしてしまいました。バカですね~。

 

 

決死の勧誘

 3年生の4月、何とか部活に活気を取り戻そうと、部活の勧誘を頑張ることにしました。

 

 噂によると、小学生の時に将棋道場に所属していた人が入学してくるらしいのです。その人はもちろん、たくさん部員を入れたら、部活も良くなっていくだろう、と思っていました。

 

 そのためには、何かいつもの勧誘と違うことをしたい。そこで至ったのが、マスコット作成でした。

 

 部室に大量に余っていた段ボールでしこしこと工作をして、頭が「王将」の形をした、将棋ロボ風のマスコットキャラ『将棋マン』を作りました。

 


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将棋マン(画像はイメージです)

 

 そして、将棋マンで放課後に詰将棋の問題を掲げながら宣伝して練り歩くことにしたのです(後輩にやらせました)。

 

 しかし、マスコットキャラの姿になったとはいえ、文化部特有のぐいぐい行けない感じが未だに残っていたため、将棋マンは『なんか放課後になると現れる、段ボールをまとって校内を徘徊するやつ』という奇妙な存在になってしまいました。

 

 そんな姿が滑稽でからかいたかったのでしょう。ある日、視界不良な将棋マンを後ろから押して階段から突き落とす事件が発生してしまいました。

 

 幸い中の人にケガはありませんでしたが、マスコット活動は停止となり、勧誘も微妙な結果に終わりました。将棋道場出身の新入生は陸上部に入部しました。

 

 

瓦解

 勧誘の後、生徒会活動の方も新年度で忙しかったので、ロクに活動にいっていませんでした。

 

 ある日のこと、生徒会室で作業をしていたら、顧問の先生に呼ばれたので、部室に行くと、部室になぜかガラスの破片が落ちていました。

 「戦場の絆」が白熱して騒いで走り回っていたら転んで、手に持っていたものが棚のガラスにぶつかって割れてしまったそうです。

 

 なんで将棋部でガラスが割れちゃうんですか?

 

 

終わり

 文化部の3年生は、文化祭まで部活は続けると先ほど書きましたが、生徒会が一番忙しくなるのは文化祭の準備の時です。そのため、ますます将棋部に顔を出すことが少なくなっていきました。

 

 ちょっと時間が空いたので部活に顔を出すと、電気は付いているのに、全然人の姿が見えません。何事だと思い、部室に入ると、部室の隅で部員二人がトランプをしていました。

 

 将棋の駒を使って辛うじて将棋っぽいことをしていた「戦場の絆」から、もはやトランプで遊ぶことがメインになって、さらにどんどん部員も来なくてなっていたのです。

 

 あー終わってるわ、この部活~。さも他人事のように感じながら、特に将棋が強くなることもなく、私は部活を引退しました。おっつおっつ。