赤と青のえんぴつ

分野にこだわらず、気になったことについて机上の空論を繰り広げたい。

アメーバピグでストーカーに遭遇した話

 1990年代生まれは、時間の有り余っている学生時代にちょうどインターネットの成長期~全盛期を味わうことのできた非常においしい世代だと思います。動画もほとんど不便なくみられましたし、商売っ気も過度に介入していない、娯楽として楽しむには最適な時期だったのではないでしょうか。

 

 しかし、インターネットが広く浸透し始めることで、さまざまなトラブルが発生したのもこの時期からでしょう。そんな中の出来事の1つに私も遭遇しました。

 

 中学1年生の時、友達に誘われて、アメーバピグを始めました。アメーバピグというのは、自分好みのアバターを作って、チャットをしたり、部屋のインテリアやファッションに凝ったり、ゲームをしたりして交流できるサービスです。残念ながら2019年12月にサービスは終了してしまいました。

 

 当時はまだスマホはもちろん、Twitterも一般的ではなく、自己表現の場といえばブログ、という時代でした。パソコンにある程度なじんでいる人は大体amebaブログのアカウントを持っていましたが、それ以上にアメーバピグの人気はすさまじく、アメーバピグを始めるためにアカウントを作る人も少なくありませんでした。

 

 アメーバピグで、〇〇中学校□年△組というタイトルで自分たちが入室できる部屋を作って、夜に楽しくクラスメイトでチャットをしていました。

 

 そんなある日、女友達Aがその部屋でこんなことを相談してきました。

「自分の部屋に気持ち悪い奴が来て困っている。」

 

 いったいどんな奴だろう、と怖いもの見たさにAのアメーバピグ上の部屋を訪れました。

 ストーカーは、Aの彼氏面をして変態なコメントをしている男でした。今考えると面白半分にストーカーしている、という感じだったと思います。

荒らしは無視するに限るのですが、当時の私たちはそういうスルースキルは皆無だったので、裏であれこれ相談しながら論破して追い返そうと必死にレスバしていました。こんなに反応してもらえたら荒らし冥利に尽きるという感じでしょう。

 それで終われば、単に中学のちょっとイタい思い出のはずでした。

 

 

 ある時、Aのもとにお届け物が来ました。ネット上ではなく、現実の家に。

 

 中には使用済みのコンドームと手紙が入っていました。あまりの衝撃に中もロクに見ずにすぐ捨てたそうです。宛名も書かれていないそのお届け物は、ストーカー男が直接届けに来ていたようです。男は隣町に住む中学3年生でした。

 

 ネット上のお遊びのつもりが、事態は深刻になってしまいました。ピグ上でのストーキングも止みません。もちろん、Aは警察に相談しましたが、そこまで取り合ってはもらえず、周辺のパトロールを強化する程度でした。

 

 正直、ネット弁慶の私はここで怖くなって、逃げてしまったため、詳細はよくわかりません。それから、Aを守る!とナイト気取りでAと付き合いだした人もいますし、自警団かのように実際に会って懲らしめようと現実で会おうとした人たちもいたみたいです(実際にはお互いに待ち合わせ場所に現れなかったらしい)。

 

 

 しかし、急転直下、この件の終わりは突然でした。このストーカーとは全く関係ないところで、同級生の悪口をブログに書くというトラブルが起き、そのトラブルが教師の耳に入り、生徒全員のブログ禁止が言い渡されました。このトラブルに関係なく、ブログをやっている生徒たちがパソコン室に呼び出されて、その場でブログを削除させられたのです。もちろん私もです。

 

 ピグ上で関わることもできなくなり、現実で来ていたストーカーも受験の時期になると家には来なくなり、この件は自然消滅しました。アメーバピグが中学生以下に規制がかかったのは、この件から1年も経たなかった頃です。おそらくこんなトラブルがあちこちで相次いだのでしょう。

 

 結局、実害はなく、無事に終わったのですが、1つだけ謎があります。なぜ、ストーカー男はAの家を特定できたのでしょうか?

 

 

 Aの住所を知っているこちら側の人間が、ストーカー男にバラさない限り、わからないはずですが……。