私が高校1年生の時の話です。テスト期間だったため、放課後に部活の友達4人くらいと、図書室で勉強をしていました。ガリガリ勉強を進めていると、メールが届きました。普段の連絡手段はもっぱらLINEだったので、何だろうかと思いながら、スマホを見ると、母から家族への一斉送信メールでした。
アキレス腱を切ってしまいました。痛い(´;ω;`)
余りに驚いて、図書室の中でえっ!?と声を出ました。状況が飲み込めません。とりあえず、友達に事情を説明し、一旦家に帰ることにしました。
誰もいない家に帰ると、不可解な光景が広がっていました。
入力がなく真っ暗な状態で電源の入っているテレビ。
開けっ放しの引き出しと、床に散乱している衣服や書類。
濡れた洗濯物の入っている洗濯カゴと、片方だけ干されている靴下。
どういう状況だ?何が何やらわかりません。
とりあえずテレビを消して、洗濯物を干していると、程なくして、学校や仕事を早退した姉と父親が帰ってきました。一旦、家のことは私と姉に任せ、父が病院に行くことになりました。
ところで、話は全く変わるんですが、2013年ぐらいの当時、『イージードゥダンササイズ』が流行っていたのを覚えていますか?1993年にリリースされたEZ DO DANCEを始めとしたTRFの大ヒット曲たちでダンスしながら運動しよう、っていうやつですね。昔、小室哲哉に魅了されていた大人の女性たちに割と流行っていましたね。
話は戻るんですが、それをうちの母親もやっていたんですよ。別に太ってないんですけどね。頑張って家事の合間にやっていたらしいんですよ。その時は、洗濯機を回している時でした。
バン!
後ろからバッドで足首を殴られたような衝撃が来たその瞬間、足に力が入らなくなり、立てなくなりました。
家には、母一人です。母は床を這いながら、電話口にたどり着き、電話をかけました。
タクシー会社に。
タクシーが来るまでの間、テレビを消し(たと思い)、何とか引き出しから、病院に行く用の服と、保険証を漁り出しました。
その時、洗濯機が洗濯終わりのアラームを鳴らしました。洗濯物を取り込まないとシワになってしまう。そう思った母は、洗濯機から洗濯カゴへ洗濯物を移し、洗濯物を干そう……とするも、あまりに激痛が走ったため、靴下片方だけで断念したところで、タクシーが来て、近くの病院へと向かったそうです。
これが不可解の光景の顛末でした。
そこまでして家事を遂行しようとして、自力で病院に行こうとする母に対して、さまざまな方向で「やばい」という感情を抱きました。
父が病院から帰ってきた後、母は入院し、手術を行うことになったということが知らされました。
母が入院している間、私と姉と父で家事を分担していましたが、その際のこまごまとした連絡をする上で、メールでは煩わしくなってきました。この時に、家族のLINEグループを作ることになったのです。
私は、家族LINEのグループ名を設定しました。
「アキレス腱」と。