赤と青のえんぴつ

分野にこだわらず、気になったことについて机上の空論を繰り広げたい。

小学校の卒業アルバムで犯した罪

 私が小学6年生の頃の話です。冬も終わりに差し掛かり、ついに卒業、という時期にありました。そんなある日、担任の先生からこっそりと話しかけられました。

 

「赤と青君、ちょっと卒業アルバムで頼みたいことがあるんだけど……」

 

 他のところはどうかわかりませんが、卒業アルバムには行事の写真や個人の作文に加えて、クラスの中の係数人で作るクラスのページというのがあります。しかし私はその係になっていません。何事だろうと、話を聞くと、

 

「クラスのページで、クラスのランキングを作るらしいんだけど、このアンケートの部分を赤と青君に任せたいんだ。」

 

 卒業アルバムの係は、ちょっとやんちゃな人たちでした。正直こういうクラスのランキングというのは、残酷である種デリケートところもあります。そこで、変なトラブルにならないように、当時真面目くんだった私に白羽の矢が立ったのではないか、と今振り返ると思います。まあ、うちの小学校、いじめで不登校4人くらい出てたし。

 当時はそこまで頭は回りませんでしたが、別に断る理由もないので了承しました。

 

「それで、ランキングを作る時にお願いしたいんだけど、ランキングのどこかには、必ずクラス全員がいるようにしてほしいんだ。たくさんランキングに載っている人がいたらそのうちの一つを書き換えるとかして。できそう?」

 

 なんと、この担任、小学6年生にやらせを要求したのです。もちろん、これは、やさしさのやらせでしょう。私だってクラスのランキングをわくわくして見たら自分が載ってなかったら嫌ですしね。

 

 ランキングの内容は姉の卒アルを参考にして、「いいお父さん/お母さんになりそうな人」「将来芸人になりそうな人」「中学でモテそうな人」「スポーツマン」など、THE無難なラインナップでアンケートを取りました。

 

 アンケートを集計して、とりあえず、やらせなしのランキングを作りました。これで全員が居れば何も問題ないのですが……

 

 …………一人だけ、ランクインしていませんでした。仮にその子の名前を、たつやくんとしましょう。

 

 たつやくんは、いじめられてはいませんでしたが、見栄を張るような嘘をつくことが多々あり、鼻くそを平気で人前で食べるような子だったため、周囲から距離を取られていました。こういうアンケートで誰も票をいれないというのも仕方がなかったのかもしれません。

 

 まさか、数人が入っていないならともかく、一人だけがランクインしないなんてことがあるとは…。

 動揺しながらも、ランキングに多数ランクインしていた人気者の名前のうちの一つを「たつや」と書き換えて提出しました。

 

 

 

 卒業式の日。完成した卒業アルバムが配られ、背表紙の裏に寄せ書きをしあいながらパラパラとみていると、友達が話しかけてきました。

 

「ちょっとwwwこれおかしいでしょwww」

 

 何事だと、友達が開いていたページを見ると、なんとそこはランキングのページでした。

 

「たつやが2位なわけないだろwww入れたやつ何なのwww」

 

 私が書き換えた「たつや」は、なんと「中学でモテそうな人」の2位にランクインしていたのです。明らかに不自然なランクインに何人かが気づいてしまっていました。

 バレバレのやらせはよくない。私は、自分が犯人であると知りながら、友達の意見に同調することしかできませんでした……。