赤と青のえんぴつ

分野にこだわらず、気になったことについて机上の空論を繰り広げたい。

新歓で劇的に入部したと思ったら裏を知って悲しくなった話

 春がやってきました!新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。といっても、昨今のウイルス騒ぎでそんな明るい感じでもないんですかね。早いところ普段の日常に戻って大学生活をエンジョイしてもらいたいものです。

 

 新入生の最初のメインイベントと言ったら、新入生の部活勧誘(新歓)でしょうか?高校までの部活と大学のサークル・部活は全く別物です。大会に全力を注ぐ人、単純に飲み会などをエンジョイしたい人、先輩・同期とのつながりを求める人、さまざまです。

 

 新歓というのは、割と人の思惑と思惑がぶつかり合う残酷なものです。新入生がタダ飯を食べたいなんていうのはまだ優しいもので、運営側は、OBからの圧力をかけられたり、部としての体制を保つためだったり、自分の利益を満たすためだったり、さまざまな考えを持った人が居ます。

 

 悪い言い方をしてしまえば、大学生とかいう未熟な人たちが新入生という右も左もわからない無垢な人たちを選別する、というイベントで、そこに思惑が錯綜すれば事故も起きるでしょう。

 

 Twitterでたまに見かける「かわいい子には勧誘チラシが集まるのに、露骨にチラシを配ってもらえない」「抽選で入部できなかった(実は裏で顔選別が行われていた)」、なんていうのはまさにその例で、高校から出て間もない人がそんな残酷な現実に直面してしまうのは、惨い、の一言に尽きます。

 まあ、高校まではそんなツイートを見て他人事だと思っていましたよホント。

 

 

急転直下、入部できなくなり絶望した

 4月、入学をした私は、タダ飯を食べに、友達を探しに、何よりも、先輩とのつながりを作って教科書や過去問などをお恵みいただけるようにするために、新歓へと向かいました。高校の部活の弓道を引き続きやろうとしたのですが、部員が少なく、試合に出られるか微妙な人数だったのであきらめました。

 となると、どこ行こうと迷ったのですが、そもそも大きな大学じゃなかったので部活・サークルの数も少なく、消去法で絞ってすぐに2つに定まりました。新歓もその2つをメインに行きました。

 

 悩みに悩んで一つに決めて、先輩に連絡をしたんですが、

「ごめん!もう入部制限かかったから見学は終わっちゃったんだ…ごめん!」

と連絡が来ました。

うわ、まじか、そう思い、もう一つのサークルに連絡をすると、

 

「ごめんね~、人数多くなったから入部制限になっちゃったんだ~ほんとごめん!」

 

……困ったな、どうしようか、絶望しました。

 

 私の大学は、新入生がたくさんいるわけではないので、都会のインカレテニサーのように顔選別をするようなほどの余裕はまずありません。しかし、練習場の広さや遠征の時など、人が多すぎると都合が悪いことがあるので入部制限をかけるのです。

 制限があることは聞いてはいたのですが、あまりにも判断が遅すぎたのだろうか……と独りベッドでふて寝をする他ありませんでした。

 

 

 夕方、日も沈みかけていた時に、フラれた先輩(後者の方)から電話が来て目が覚めました。あわてて電話に出ると、

 

「もしもし、〇〇くん!?今すぐ□□に来れる!?枠が空いて入部できるよ!!」

 

 その電話を聞いて、急いで寝間着から着替え、自転車で向かいました。

 新歓は、部活をある程度やってから、レストランや居酒屋などで夕飯を先輩たちと一緒に食べ、入部をしたい人は、部員みんなの前で入部宣言をして入部、という形なのですが、急いで駆け付けた私はご飯から合流した形になりました。そこで入部宣言をして、滑り込みで私は最後の入部者となったのでした……。いやぁよかったよかった。

 

 

 表向きは。

 

 

勧誘する側になって裏を知った

 「入部制限をかけられて絶望していたら、たまたま枠が空いて、急いで駆け付けて入部できた」というのは、何とも運がよく、ドラマチックな感じもします。

しかし、新入生の私が持った違和感が2つありました。

・見学終わったって言ってたのに見学を行っていたこと

・制限をかける前日に把握していた入部した人数が、先輩が言っていた「入部制限予定人数」よりも少なかったこと

まあ、正直、入部できたからいいや、と思って、当時はあんまり気にしていなかったのですが。

 

 今回の話の裏には、そんな「入部制限予定人数」がキーワードになります。

 前述のように、私の大学での入部制限は、部員が増えすぎると練習場などのキャパがオーバーしてしまうためであり、入部者が過度に超えてしまうと活動に支障が出てしまいます。なので、入部1人目、2人目、3人目…はい!終わり!と早い者勝ちで入部制限をかけているのです。早い者勝ちというのは、残酷な顔選別とは対照的に、平等な選び方、という気がします。

 

 しかし、このやり方では、上手くいかないことがあります。

 うちの大学では、新歓で入部宣言ができるのは、見学後の食事の場しかありません。つまり、入部宣言できるタイミングは連続的ではなく断続的であり、入部宣言する時には、同時に入部宣言をすることになるのです。そうするとこんな問題が出てきます。

 

 入部制限予定人数まであと2人だったのに、ある日の食事後の挨拶で入部宣言を6人してしまった、まさかその場で、「はい入部制限です、宣言できませ~ん」ってやるわけにもいかないので、入れざるを得ず、大幅に人数を超過してしまった……

 

 これを起きると厄介です。ましてや新歓の日数が経てば経つほど、入部制限予定人数に近づいていくのに、入部宣言をしたい人数は増えるのですから、この事故は起こる可能性が高くなってしまいます。

 

 では、どうすればいいでしょうか?

 

 

 そうです、 選別 です。

 

 新歓の終盤は、見学する人数を絞れば、この事故は防げます。さらに、勧誘する側は、新歓を終える日を設定し、その終了予定日に、選別した見学者に対して、「今日で勧誘終わりそうだから宣言してね!」とそれとなく言えば、過不足なく人数を達成できるのです。

 

 

 勧誘のからくりを知って僕の持った違和感は解消されました。

・見学終わったって言ってたのに見学を行っていたこと

⇒見学者の選別がされて、自分は選別で切り捨てられた(拾われたところをみると切り捨てられた中ではマシな方だったんだと思う)

 

・制限をかける前日に把握していた入部した人数が、先輩が言っていた「入部制限予定人数」よりも少なかったこと

⇒このやり方でやれば、予定通り終わるように、宣言する人数を調整すればいいので、残り人数はあまり関係ない

 ということになります。

 

 当時の勧誘した人たちは卒業したので、どういう選別が行われたかは知りません。僕は見た目も心も陰キャなので、切り捨てられて然るべきだったかもしれません。

 どちらにせよ、ああ、切り捨てられたのか……ってちょっと悲しくなった話でした。

 その後の勧誘で選別する側になった話もありますが、それはまたの機会に……