赤と青のえんぴつ

分野にこだわらず、気になったことについて机上の空論を繰り広げたい。

旅行先の温泉での騒動から考える、エピソードトークの組み立て方

 エピソードトークをする機会は誰しもあります。芸人がバラエティやラジオでエピソードトークしているのをみるとたいそうなものには思えますが、「こんなことあったんすよ〜」って友人に話すことも十分エピソードトークでしょう。

 

 せっかく体験したエピソードを上手く伝えられないのはもったいない!と私は思い、今まで人生であったエピソードをブログの記事にしていました。

 

こんなのとか

新歓で劇的に入部したと思ったら裏を知って悲しくなった話 - 赤と青のえんぴつ

 

こういうのも

点数開示には気を付けよう! - 赤と青のえんぴつ

 

 こうやって文章に書き起こしたことで、実際飲み会でエピソードトークする時も上手く喋れるようになった気がします。気がしているだけかもしれませんが。

 

 エピソードトークはあくまで自分の体験したエピソードの追体験であり、適切に100%伝えることができれば、よほど自身の感性が世間一般とズレていない限りは自身がその時感じた同じ感情をほぼ100%聞き手に体験させられるはずなのです。

 

 内容的には絶対おもしろいのに、いまいち話が伝わらないとすごくもったいないので、どうやればそうならないか、私自身が何となく意識していることを、旅行先で体験したエピソードを材料に書き置きします。

 

題材のエピソード

「旅行先で行った温泉で、脱衣所のロッカーのカギが壊れてしまって服が取り出せず、フロントの電話も中々つながらなくて大変だった」

 

 これだけでも十分エピソードトークになると思います。別に普段もこれでいいんだとは思います。聞き手が色々質問することで会話のキャッチボールにもなって盛り上がりますし。

 これからする話は、人のエピソードトークを広げる時にどんな質問が有効なのか?にもつながるのでまだ閉じないでください。

 

どれくらいの時間で話せる?

 前提として、エピソードトークをするのにどれくらいの時間があるのかが重要になります。

 テレビで芸人が「同じエピソードトークでも、テレビで長々と話すだけじゃなくて、色々削って楽屋で1分で話すこともある」みたいなことを言っていました。

 どんなに組み立てが良くても、長々と話していたら何かで中断されて結局話さずじまい、というのが一番もったいないです。そのため話せる時間がどれくらいか把握するのは大事です。

 短い休憩時間の時に話すのであれば、上記のまま話せばいいと思います。もう少し長く話せそうであれば、これから記載することを付け足しましょう。

 

付け足すべき要素は、

①背景情報

②状況描写

③その時点の感情

です。

 

背景情報

 話の前提としてここがきちんと共有されていないと聞き手が話に入り込めません。

 上に載せた得点開示の話でも、いかに落ちる人が多くて進級に関わる大事な試験なのかを明記しないと、何でこんなに大騒ぎしているんだろう、という認識にもなりかねないので、きちんとそこは背景情報として書き足しています。

 あと背景情報は最後に向けて大きな"フリ"になるんですよね。得点開示の話では、厳しい試験という前提が共有されることで、そこから続くイタズラの重さが際立ちます。

 

 今回の題材のエピソードで考えると、実はこの旅行の直前に失恋していることや、ロッカーの形状でしょうか。

 傷心状態という前提があると踏んだり蹴ったりな感じが出ます。ロッカーの形状は鍵自体が扉の取っ手になるタイプだったのですが、こういう細かいところを話の大事な部分で聞かれると話の腰が折れてしまうので、予め説明した方がいいと思います。

 

状況描写

 話し手はありのままを体験したので全部わかっていますが、もちろん聞き手は0からなので何もわかっていません。5W1Hを意識した状況描写は大切でしょう。

 上に載せた新歓の話では、特に時間経過が大事なのでそこの部分をきちんと補足すると、入部できない焦りみたいなものが伝わりやすいのかな〜って思って書いていました。

 

 今回の題材のエピソードだと、この一連で私が全裸であることがポイントで、ロッカーの前で全裸であたふたしている様子は自身の滑稽さ不憫さを強く感じさせるので、きちんと補足すべきだと思います。

 

その時点の感情

 話を長くすればするほど話し手と聞き手で認識がズレる可能性が高まります。客観的情報を100%完璧に伝えられたとしても、ズレる可能性があるのは「話し手がどう思ったか」という主観的情報です。

 ここのズレを最小限にするために、自分がその時どう思っていたか、を適宜付け足すのが大事かな、と思います。

 知り合いに話す時は、自分がどういう性格の人間かある程度わかってもらえていると思いますが、上記のようにブログで書いた時には誰が見ているかわからないので結構チェックポイントかのように付け足した記憶があります。

 

 今回の題材のエピソードだと、「ホテルの温泉やサウナがかなり良くて、気持ちよかったな〜なんて思って風呂に上がったら〜」みたいに付け足すでしょうか。そこからのピンチが際立ちますしね。

 

上記を参考にエピソードを広げてみる

 最近夏休みで友達と旅行に行ったんですが、その直前に気になっていた子と脈なしみたいな感じになってめちゃくちゃ萎えた状態で出発しました。

 夜に温泉付きのホテルにチェックインし、早速大浴場に向かいました。脱衣所のロッカーは鍵自体が取っ手になるタイプのやつで、そこに服とか詰めて、大浴場に入ってみると、濁り湯とかサウナとか色々あって、いや〜気持ちよかったな〜、なんて思いながら鍵を取り出したら、鍵が折れてて。

 意味もわからず鍵穴を見たら、鍵穴の中で根本から折れて中に埋まっていたんですよ。服も取り出せないので、何とか開けられないか、ロッカーと格闘したんですけどとっかかりがなくてどうにもなりませんでした。

 どうしようかと途方に暮れていたらフロント直通の電話が目につきました。助かった!って思いながら受話器に話しかけたんですけど、壊れているのか全然向こうに声が届かなくて。

 びちゃびちゃの全裸で「もしもし!脱衣所のロッカー壊れちゃって!」って大きめの声で話してるもんだから他の客も何だ何だ、って感じで見てくるし。

 

 そうやってワタワタしていたら、掃除のおばちゃんがたまたまやってきて「どうしました?」って声かけてくれました。事情を説明したら「とりあえずこれで体拭いて待ってて」ってタオルと館内着をくれてフロントスタッフを呼びに行きました。

 少ししてフロントスタッフがやってきました。散々な目にあっているのでちょっとイライラしながら後ろで様子を見ていたんですが、ロッカーはマスターキーがあればいいとかそんな状態じゃなかったので、スタッフもドライバー片手に「どうしようかな…どうしようかな…」って明らかに困っているんですよ。

 どうしようかな、はこっちのセリフなんですけど、どうにかこうにか無理やりこじ開けてくれて服を無事回収、事なきを得ました。

 

 でも、一番イラッとしたのは、スタッフを呼びに行こうとすれば行けたはずの友人が、しっかり温泉を堪能した後にこの一連の流れを遠巻きにニヤニヤしながら観てて、最後に「お祓い行った方がいいよ」っていってきたことですかね。

 

まとめ

 いかがでしたか?これらの話はエピソードトークを組み立てるだけでなく、聞き手として相槌を打つ時もどういうことを聞けばいいのかに役立ちます。参考になれば幸いです。