赤と青のえんぴつ

分野にこだわらず、気になったことについて机上の空論を繰り広げたい。

「いかがでしたか?」側の端くれだった話

 皆さんは、在宅バイトをしたことがありますか?

 一般的なアルバイトと違って、在宅バイトなら、好きな時に自分のペースでできるというイメージもあるため、やってみたい方も多いでしょう。

 今回の記事では、私のライターの在宅バイトの体験談を書いていきます。

 

 

 

 数年前、私はバイトを探していました。

 大学の実習が忙しかったので、在宅バイトの方が、スキマ時間を有効活用できていいな、と思い、あれこれ探していたのですが、片田舎だと中々いいバイトが見つかりません。

 

 

 どうしたものか、と外を歩いていると、古めの建物に張り紙がありました。

「ライター募集」

 

 

 さすがにうさん臭くて、飛び込みでその建物に入る勇気はありません。一旦、周りにこの張り紙の詳細を知っている人はいないか、とリサーチをかけました。

 すると、このライターをやっている友人がいたので、事情を伝えて担当者に話を通してもらえることになったのです。ラッキー。

 

 チャットでのやりとりを何往復かしてから、実際に面接となりました。

 面接といっても大したものではなく、質問をいくつかして、事前に課されていた課題文に目を通すと即採用となり、すぐに仕事内容の説明が始まりました。

 

 

「この仕事には事前知識はほぼ必要ありません。これから、赤と青さんには、『リライト』という種類の記事を書いてもらいます。」

 

 

 ライターという仕事は、伝えたいことを文章で適切に伝えるもので、そのためには十分な知識や情報収集が必要なイメージです。

 どういうことなのだろうか、と少し疑問に思いながら、説明を聞きました。

 

 「リライト」とは、すでに存在している記事や文章を、同じ意味で文章自体は書き換える、という仕事です。

 依頼主から提示された記事のURLをもとにして、ライターが、意味は変えずに文章を書き換えた記事を提出します。

 これが「リライト」のおおまかな流れです。

 ちなみに、元の記事と関連した他の記事も参考にしながら書くこともあります。

 

 例として、上記の文章を「リライト」してみます。

 

 すでに存在する記事を、意味を変えずに違う文章を書き換える仕事を「リライト」と言います。

 順を追って流れを説明しましょう。

 まず、クライアントから「リライト」してほしい記事のURLが提示されます。

 その記事を見たライターは、同じトピックを扱った他の記事も参考にしながら、文章は書き換えつつも、内容はそのままの記事を書き、提出して終了です。

 

 記事を書く際には、文字数の指定はもちろんのこと、トピックについての導入→本文→全体のまとめ、といった流れにも指定があります。

 そして、最後にWeb上の文章に類似したものが無いかを、コピペチェックツールを用いて調べて、ようやく1本完成です。

 

 依頼主から提示される記事は、今までほとんど触れたことのないトピック、冠婚葬祭や株式投資、転職など、さまざまでした。

 見たこともない専門的な内容をなんとなくの理解でなんとなくの文章にして、何とか記事の形にしていました。

 

 

 何本か記事を書きながら、ふと、私は思いました。

 

 

唐突な導入。

どこかで見たような焼き直しの本文。

ざっくりとしたまとめ。

新規性の無く、文字数稼ぎの薄い記事。

 

 

 これ、「いかがでしたか?」系サイトと変わりないじゃないか……、と。

 

 

 そんな虚無な気持ちで、しばらく仕事続けていたのですが、ある時、急に依頼もこなくなって、給料の未払いもされかけ、担当者とは音信不通となり、記事を書くことはなくなりました。

 

 

 どうしようもない仕事でしたが、唯一感謝できることは、多少は文章の書き方が身についたことくらいです。

 このブログでも、「一文を短く」「段落分けはこまめに」「『~です。~です。』のように同じ文末を繰り返さない」といったことを意識して、冗長な文章にならないように心がけています。

 

 ただ、昨今のネットで問題視されている、質の悪い情報の氾濫の一端をこうして担ってしまったのは本当に申し訳ないですね……。

 

 

 いかがでしたか? 今回は、ライターの在宅バイト体験談についてお話ししました。

 記事を内容を変えずに書き直す「リライト」という仕事の内容がわかっていただけたかと思います。

 皆さんが見ている記事が、本当に理解している人が書いたものとは限りません。

 情報を見極めて快適なインターネットライフを過ごしましょう!